示談前に必要な準備②

 ③正確な過失割合を知る

 示談交渉の場において、損害額の算定とともに問題となるのが過失の割合です。
 後遺傷害事故や死亡事故の場合、損害額が非常に大きな金額となり、過失の割合によって賠償金額に大きな差が出てしまうためです。
 例えば、死亡事故では、損害賠償金額が2億円を超えることも珍しくありません。
 この場合、被害者の過失が1割重くなってしまうと、被害者の受け取ることのできる金額に2000万円の差がつきます。
 ですから、過失割合の交渉で被害者が譲歩してしまい、知らない間に賠償金額が大幅に減額されてしまうといった事態を避けるためにも、被害者は事前に過失割合に関して研究し、示談交渉では正確な割合を相手に認めさせなければなりません。
 なお、交通事故における過失割合は、日弁連の作成する「損害賠償算定基準(通称赤い本)」によってある程度の定型化がなされています。
 一般の書店では販売されていない本ですが、参考として目を通しておきたい本です。


 ④加害者の支払い能力をチェックする

 示談交渉を行う際、基本となるのが相手の支払い能力の有無です。
 加害者が任意保険に加入していた場合は、その保険金を損害賠償の資金として想定することができます。
 ただし、加害者の加入する任意保険に対し対人賠償保険が含まれている場合は、示談交渉の相手が保険会社の担当者ということがあります。
 この場合、たとえあいての加入する対人賠償保険の賠償限度額が無制限であっても、保険会社はあくまで営利企業ですから、その提示する金額は弁護士会基準(前掲「損害賠償算定基準(通称赤い本)」)を下回ることが多くなります。
 ですから、被害者はプロとの交渉になったとしても、相手の請求に押し切られることなく冷静に対応することが大切です。



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示談前に必要な準備①

示談前に必要な準備とは


 示談を行う場合、請求する側に必要な準備は

 ①損害額を確定させる
 ②必要な書類をそろえる 
 ③過失の割合を納得するまで検討する
 ④加害者の支払い能力をチェックする

 この4点です。

 ①損害額を確定させる

 示談交渉においては、損害額を確定させることが非常に重要なポイントとなります。
 加害者には、法律上認められる損害に対して賠償を行う義務がありますから、被害者は正当な金額よりも低く提示し、損をすることを防がなければなりません。
 また死亡事故などでは、被害者が感情的になってしまい、法外な金額を請求したために示談がなかなか思うように進まないケースもあります。
 このようなことを防ぐためにも、被害者側は冷静な対応を心がけ、正当な損害額を請求しなければなりません。

 必要な書類は、必ず示談前に準備しておく

示談交渉の場では、事故の発生を証明する書類、身体に受けた損害を証明する書類、損害賠償を証明する書類、身分を証明する書類が必要になります。
 また、示談が不成立となり民事裁判を起こす場合でも、これらの書類は必要です。
加害者は、請求された金額が正当な物であれば、これを支払う義務を負います。
 しかし請求されなかった損害に関しては、加害者は進んで支払う必要がありません。
 ですから、被害者側は必要な書類をすべて用意し、請求漏れがないように準備しましょう。


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示談②

示談とは、民事上の責任の賠償を交渉する場


 事故を起こしたことにより加害者の負う3つの責任

①刑事上の責任

事故により人を死傷させると、刑法に定められた懲役刑・禁固刑・罰金刑を負う
他人の建造物を壊したとき、道交法により禁固刑・罰金刑を負う

②行政上の責任

事故により人を死傷させた、道交法に違反していたなどは、免許証が停止・取り消しされる

③民事上の責任

事故により人を死傷させたり、物に損害を与えたりした場合、自賠法および民法に基づき損害賠償責任を負う

③の民事上の責任 → 示談による解決ができる 



被害者 → 損害に対する賠償の請求

        賠償額や支払方法などに双方が納得した場合、示談が成立する

加害者 → 相手に与えた損害を賠償

示談不成立の場合 →  裁判所で調停や訴訟

示談成立の場合   →  公証人役場で公正証書を作成する



 示談書による内容は覆せない

 示談をするということは、加害者が被害者に対し賠償金を支払うことを約束し、被害者はその金額で納得したとする契約のことです。
 通常、被害者と加害者の話し合いがまとまったときは、内容を示談書にまとめ、双方が署名押印してそれぞれ一通ずつ持つことになります。
 ですから、いったん示談が成立したら加害者が賠償額を減額したり、被害者が再度の支払いを請求したりすることはできません(後遺障害の発生はまた別)。
 「あの金額は間違いだった」では済まされないのです。
 また、気を付けなければならないのは、口頭での約束です。
 口約束も「示談」として成立してしまいます。無用のトラブルを避けるためにも、双方が納得した場合は示談書を作成し、分割払いなど長期にわたる条件が入っているときは、公正証書におくとよいでしょう。



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示談①

 示談での事故の和解を行う

 被害者と加害者の双方が話し合い、事故による損害賠償を解決するのが示談です。
 被害、謝罪や金額、支払方法などに納得することができれば、示談が成立します。
 裁判にかかる費用や時間を要さないため、早く解決することができます。


 民事責任は被害者が直接追及する

 交通事故を起こすと、加害者は刑事上、行政上、民事上の責任を問われます。
中でも被害者が直接かかわるのは、民事上の責任です。
 この責任は、加害者が被害者に対し与えた損害を賠償する責任のことで、被害者が加害者に対して直接賠償を求めることができます。
 賠償を求める方法には、示談、加害者の加入する保険への賠償請求、裁判所への調停・訴訟があります。
 なお、刑事上の責任とは、加害者が懲役刑・禁固刑・罰金刑などの刑罰を受けることで、行政上の責任は、免許を持っている人に対し公安委員会が行う行政処分のことです。


 示談とは何か

 示談とは、裁判所を介さず、被害者と加害者の間で話し合うことにより民事上の責任(損害賠償責任)を解決する方法です。
 事故による治療費や慰謝料、逸失利益などの損害項目をそれぞれ金銭に換算し、その金額に双方が納得できれば、示談書を作成して損害額を確定させます。
 納得できなければ、示談書は作成してはいけません。
 ただし、示談書が緊急に必要となってしまった場合は、「〇月〇日までの損害についての示談書であり、後ほど新たな示談書を作成する」と明記した示談書を作成する必要もあります。
 現在、交通事故の損害賠償の大半は、によって解決されています。
しかし、条件に折り合いがつかない場合や、賠償額がどうしても納得いかないときは、裁判所での調停や民事訴訟なども考慮に入れておきましょう。



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政府の保障事業②

自賠責と異なる点

請求できる金額は、自賠責保険とほぼ同じですが、下記のような点で違いがあります。

 ①被害者しか請求できない(加害者請求は不可)
 ②加害者が特定できる場合は、被害者に支払った金額を加害者に対し求償する
 ③被害者に過失がある場合は、過失割合(5%単位で計算)に応じて損害額が差し引かれる(自賠責の場合は、実務上70%以上の過失がない限り100%支給
 ④治療費は、自由診療で治療をしても健康保険の医療単位で換算
 ⑤健康保険・労災保険などの社会保険による給付や、加害者からの支払いがあった場合は、損金額を差し引いて支給
 ⑥自賠責保険の仮渡金・内払金に相当する制度がない
 ⑦いかなる理由があったとしても、起算日より2年で時効となる
 ⑧親族間の事故では、原則として適用されない


請求先と必要な書類

 政府の保障事業の窓口業務は、各損害保険会社が行っており、請求する事故の種類や損害の対象ごとに必要な書類が異なります。

①補償事業への填補請求書
②交通事故証明書
③事故発生状況報告
④診断書
⑤後遺障害診断書
⑥死体検案書または死亡診断書
⑦診療報酬明細書
⑧通院交通費の明細書
⑨医薬品の領収書
⑩健康保険などの被保険者証のコピー
⑪休業損害証明書(給与所得者の場合
⑫その他の損害を立証する書類や領収書
⑬委任状
⑭印鑑証明書
⑮住民票、戸籍謄本または除籍謄本


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政府の保障事業①


政府の補償事業とは

 ひき逃げで加害者が特定できない、事故相手が保険未加入で賠償能力がないときなどは、被害者は「政府の保証事業」に対し保証金の請求を行うことができます。
最小限の被害者救済を行う政府の保障事業
 事故にあった被害者は、本来であれば加害者や加害者の加入する保険から、損害賠償金を受け取ることができます。
 しかし、「ひき逃げで加害者が特定できない「加害者が自賠責保険に入ってなかった」「事故相手が盗難車で保険金が支払われない」など、相手から損害賠償金をまったく受けとることができないケースがあります。
 このような場合、政府は加害者に代わり最小限の補償を被害者に対して行います。
政府が行う補償事業補償内容
 補償の内容は自賠責保険とほぼ同じ内容ですが、加害者の賠償義務を国が肩代わりする制度ですから、給付に対しては厳しく査定されます。
政府の保障事業の給付内容
事故の種類     支払限度額         支払われる対象
 
障害           120万円           ・治療費・看護料・諸雑費
                              ・義肢等の費用・診断書
                              などの費用、休業損害、慰謝料

後遺障害    75万円~40000万円      逸失利益、慰謝料
            (後遺障害等級によって異なる) 

死亡           3000万円           葬祭費、逸失利益、慰謝料



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労災保険②

労災保険の給付内容


療養補償給付  
 治療費の全額が支払われる

休業補償給付  
 治療のために4日以上休業した場合に支払われる
 ・休業期間中の給付
 [給付基礎日額*]×60%×休業日数
 ・別枠で休業特別支給金が給付
 [給付基礎日額*]×20%×休業日数

障害補償給付  
 後遺障害が残った場合、等級に応じて障害補償年金または障害補償一時金が支払われる

遺族補償給付 
 被害者の遺族に対して、遺族補償年金または遺族補償一時金が支払われる

葬祭費  
 被害者が死亡した場合、葬祭を行った遺族、事業主、友人などに支払われる

傷病補償年金
 1年6ヶ月を越えても傷病の状態が継続し、傷害等級表により1~3級と認められた場合、休業給付に代わり所定の年金が支払われる

特別支給金  
 上記のうち、休業補償付、障害補償付、傷病補償年金の受給権者には、別枠で特別給付金が支払われる

  (*給付基礎日額=賞与を除く3ヶ月分の給与÷90日


 労災保険に治療費の請求を行うと保険料が上がる?
 Q.労災保険に治療費の請求を行いたいと会社に言ったところ、「加害者が悪いのになぜうちの労災保険を使わなくてはならないのか。
 保険料が上がるじゃないか」と言われました。
 労災保険の保険料はあがりますか?

 A.業務時間中や通勤途中の交通事故の場合は、業務災害と違って、たとえ労災保険を使用したとしても保険料は上がりません。
 ですから、「業務中の交通事故に労災保険を使うと、会社の保険料が上がる」というのは間違いです。
 保険料のアップを気にする経営者に対しては、保険料が上がらないことを伝え、労災保険の申請を行いましょう。



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